尚後哲を俟つ

読んだ本の書評やアマチュア野球の観戦記、日々の雑感をつぶやいていきます。

社会人野球観戦記 オールフロンティア-明治安田生命(社会人野球日本選手権予選)

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社会人野球日本選手権予選を観戦に、9月2日は大田スタジアムまで行っておりました。

この球場に来るのは実は2年ぶり。2017年秋季の東京新大学野球リーグ以来。あの時は最終節にも関わらず、4校に優勝の可能性があって、スゴかった。

久しぶりに「伊勢屋のおにぎり」が食べたいなあ…と思ったのもあります。あと、あまりお目にかかれない3チームが見られる。

3試合のお品書きはこんな感じ

オールフロンティア-明治安田生命
JR千葉-三菱日立パワーシステムズ
SUNホールディングス-日本製鉄かずさマジック

たらたら試合の感想でも書いていきましょう。まず9時プレイボールのオールフロンティア-明治安田生命から。
オールフロンティアの先発はエース・高橋京介(青学大)。実は高橋京と明治安田生命は並々ならぬ因縁がある。都市対抗野球本選で、JFE東日本に補強された高橋京は3回戦の明治安田生命戦に先発。粘り強いピッチングで試合を作った。明治安田生命は9回にセガサミーから補強した陶久亮太(東農大北海道)が崩れたのが痛く、逆転サヨナラ負けを喫したが、高橋京を攻めきれなかったのが後々響いた形だった。
そんな高橋京は、今日も明治安田生命を苦しめる。速球は最速でも130キロ台後半だけど、打者の打ち気をそらすピッチングがいい。特にあの鋭いスライダーはなかなか打てない。力感のない「やる気あんのか?」って感じのフォームから、とにかく内外角を目一杯、丁寧についていく。あっと驚くものはなくても「勝てる」投手なんだろうな。高橋京は秋田の本荘高から青学大だが、大学の大先輩の石川雅規(秋田商)を思わせる経歴、スタイルだ。
明治安田生命の先発は高橋裕也(明大)。大学時代から名前は聞いていた。140キロ台前半ながらノビのある直球で押す。老練な古田康浩(佛教大)かエース大久保匠(明大)のどちらかが投げるかな、とも思ったのだが、違った。「両高橋」の対決だ。
試合の前半は、その両高橋がよかった。明安は、オフロ高橋京の緩急自在のピッチングの前に、得点機は作るものの抑え込まれる。特に4回裏、一死一、二塁で4番泉澤涼太(中大)を外角の変化球で併殺打に打ち取ったあたりが出色だった。対するオフロも、明安高橋のストレートが打てない。あまり精度の高くない変化球(カーブ、スライダー)を打ってチャンスは作るが決定機を逃し続けた。
先制したのはオフロ。5回表、下位打線で作った一死一、三塁のチャンスから1番石野佑太(関東学院大)の二塁併殺崩れで先制。その裏、高橋京は二死二塁のピンチを凌いで、球場が「おや?」という雰囲気になってくる。
6回表。流れを変えたい明安は、リリーフに黒萩幸生(立大)を投入。最速140キロの直球と、130キロ台前半で曲がる変化球(スライダー?)が見事だった。オフロ打線を三者凡退に抑え、流れを呼び込む。
6回裏、明安は一死から1番高瀬雄大(明大)がセンター前安打。これを、冒険したセンター小林航(立正大)がはじいて高瀬は二塁へ。続く大東孝輔(立大)が三遊間突破安打。一死一、三塁となる。そして3番新城拓(中大)が左前に同点打を放った。しかし続くチャンスは4番泉澤、5番大野大樹(早大)がいずれも詰まらされた左飛、一飛に抑えられる。共にスライダーだった。
さあオフロは勝ち越したい。7回表、一死から6番齋藤湧貴(国学大)が左前安打で出塁。そして続く関康幸(東北福祉大)の深い二ゴロで二死二塁。さあここで力投の高橋京の女房役・浅賀大輔(東日本国際大)がバッターボックス。すわ決めろ、と念じたが(僕はもうオフロに肩入れしてしまっていた)、黒萩の直球の前に中途半端な打撃で一ゴロに倒れた。立大時代から勝負所のリリーバーとして投げてきた黒萩の前ではやはり甘くない。そして、ああこれはマズいかな、と思う。
悪い予感は当たる。7回裏、6番小川拓真(中大)のセンターへの打球を小林がまたも後逸。二塁代走に島田隼斗(中大)が送られ、さあ勝負だ。そして井村滋(国学大)はやすやすと投前犠打を決める。一死三塁。こういう場面は一気呵成に。8番道端俊輔(早大)は、初球を叩いて左犠飛とした。明治安田生命、勝ち越しだ。
オールフロンティアに、跳ね返す力は残っていなかった。8回裏からは高橋京が無念の降板。同じく東都、こちらは三部大正大のエースだった金子弥聖が登板し好投する。

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二部三部入替戦での孤軍奮闘ぶりが、印象深い。金子さん、やっと三部校が、二部校に勝てるようになったよ…後輩の大黒一之(現エイジェック)も頑張ったよなあ、などと思っている間に、オールフロンティアの9回表は無得点。奮闘むなしく、敗退である。

なんだろう…前半は結構押し気味に進めていたが、オフロはタイムリーが出なかった。明安もお世辞にも強力打線とは言えないが、点差はチームとしての経験値の差なんだろう。道端の初球犠飛は粘り強い明治安田生命の象徴かな。オールフロンティアはセンター小林がちょっと突っ込みすぎたり、勝ちを焦ったかなあ…。高橋裕也をもちっと攻略できたら全然違っただろう。できそうな感じはした。しかし、二大大会常連のチームに勝つのはやはり甘くないのか。たとえ、黒獅子旗獲得にに貢献した大エースをしても…。
そんなことを考えた。
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見方を変えれば、明治安田生命は、高橋京介への「雪辱」を果たしたと言えようか。

さて、日本選手権の決勝が終わった11月の今さら、こんなことを書いとります。社会人野球に本格的に初めて手を出した今年の総まとめをしなきゃな、と思った次第です。気が向いたら、観戦した試合についていろいろ思い出しながら、書いていきます。